練習問題

公認心理師の職責3 解答・解説編

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21)×

「インフォームド・コンセント」に関する問題です。いきなり「了解して頂かないと面接はできません」と、面接を断るというのはいかにも冷たい対応です。現任者講習テキストP17(以下:テキスト)の職業倫理の7原則「第4原則:一人ひとりを人間として尊重する。冷たくあしらわない」にも抵触しそうですし、テキストP30にある通り、公認心理師が行う援助の内容などについて、公認心理師から説明を行った上で、クライエントが強制されることなく自由意志で同意する(あるいは拒否する)権利を保障しなければなりません。また、テキストP30には、「同意を得ることは、両者の関係のできるだけ早い時点で行う必要がある」とはあります。面接を始める前に、この秘密の扱いについて話し合う時間を取ることも可能と考えます。面接を始めるか始めないかはしばらく棚上げにして、クライエントの「話を聞いて欲しい」という希望をかなえようとする姿勢を持つと共に、基本的には秘密は守られる事を強調しつつ、他者に面接内容を話さなければならない場合をもう少し詳しく説明したり、ひいてはそれがクライエントを守ることになることなど、クライエントの理解を得ようとする努力が必要と考え、×としました。

 

22)×

「インフォームド・コンセント」と「秘密保持義務」に関する問題です。非常に悩ましい状況といえます。スクールカウンセラーとしては、所属機関の長である校長先生の指示のもと仕事をしなければなりませんし、校長先生が生徒の身の安全を心配するのも当然です。しかしこの場合、女子高校生との間には先生や保護者に話す同意が得られていませんし、秘密保持義務があります。また、女子高校生の話した内容を保護者に伝えることによって、母親がどの程度心理的に不安定な状態に陥るかは、予測が難しいところです。万が一、母親に伝えたことで、この女子高校生が母親からの叱責を受け更に心理的に追い込まれて家出する危険性や、自死に至る危険性など、あらゆる危険性を考えておかねばなりません。もちろん、本人の「今は援助交際はしていない」という主張が虚偽である可能性も考えなければなりませんが、一度は裏切られたと感じたであろうスクールカウンセラー(公認心理師)を信頼しようやく自身の抱えている不安を言葉にして相談することができた気持ちを思うと、再び同じように傷つける事は避けなければなりません。ここは校長先生に上記の件をお伝えしながらよく話し合い、できるだけ速やかに再度本人と面談する機会を作り、本人からさらに詳しい話を聞く必要があります。女子高校生本人から保護者に伝える同意が得られるか、今の状況の危険性や緊急性、法に触れている点がないか、本人の罪責感や不安から自主的に「パパ活」をやめる道がないか、秘密を共有する範囲を広げていく方法等を校長先生に提案する必要があると考え、×としました。

 

23)○

「秘密保持義務」の問題です。覚醒剤の通報義務に関しては非常に難しい要素があります。医師は受診した患者が麻薬使用であることが判明した場合「麻薬及び向精神薬取締法」により、都道府県知事に届け出る事が求められています(第58条の2)。一方「覚醒剤取締法」では、同様の趣旨の届出に関する規定は存在しないのです。しかし、平成17年7月19日の最高裁の判例により、「患者の自己申告ではなく、別の疾病の診断の過程から患者が違法な薬物の使用をしていることを知った場合に、これを捜査機関に通報することは正当な行為であり守秘義務に違反しない」とされました。この判例により、通報義務があるとまでは言えないものの、仮に通報しても守秘義務違反とならないという、通報する必要があるかどうか非常に難しい問題となりました。覚醒剤使用者を発見した際は、法律上届出義務は明記されていませんが、警察に通報することが基本ではありますが、「覚醒剤取締法」には通報義務はなく、クライエントが覚醒剤使用の治療を目的として病院等の治療施設に援助を求めてきている場合、通報しなくても良いという考え方ができるわけです。警察への通報よりも、治療や薬物からの離脱の援助を開始することを優先とした対応を医療者には求められるはずです。よって○としました。クライエントの所持している覚醒剤の処分方法などについては行政機関への相談が、面談の過程でいずれ必要にはなるでしょう。また、この問題のような対応以外にも、電話をつないだまま話を聴き、極力本人が自主的に病院などのしかるべき治療機関を訪ねることができるよう促していくことや、自身にそうした薬物や治療法に関する知識が不十分であると感じるのであれば、ダルクなどの薬物についての専門電話相談窓口などの情報を提供することなども検討すべきでしょう。この問題に関しては是非、次の参考資料に目を通しておくことをおすすめします。→参考資料

 

24)×

「インフォームド・コンセント」と「専門的能力の範囲外の援助」についての問題です。テキストP30には「公認心理師が行う援助の内容などについて、公認心理師から説明を行った上で、クライエントが強制されることなく自由意志で同意する(あるいは拒否する)権利を保障しなければならない」とあり、またテキストP21には「公認心理師には、十分な教育訓練によって習得した自身の専門的能力の範囲内において援助を行うことが求められており、範囲外の事柄については、その事柄について適切に対応できる人に依頼しなければならない。」とあります。 この問題では、クライエントは「認知行動療法が受けたい」と希望しています。治療方法や方針は、医師との間で決めるものではなく、クライエントとの間で話し合って決められるべきです。自身がその技法について知識や技術が不十分なのであれば、適切なリファーについて話し合わなければならず、また、医師が技法の違いを理解していない場合は、医師にかわってクライエントに公認心理師から説明する了解をとり、クライエントと話し合う必要があります。クライエントの自己決定を損ねてはいけません。よって×としました。

 

25)×

「公認心理師の不在」(テキストP24参照)と「リファー」についての問題です。この公認心理師は、以前の職場(Aクリニック)の退職時にしかるべきリファーを行っています。しかしクライエントはAクリニックの通院を中断したいとのことです。公認心理師としては主治医やカウンセラーに自分の気持ちを伝えるように促す必要があります。つまり、このクライエントには主治の医師がある状態であり、公認心理師法第42条には「公認心理師はその業務を行うに当たって、要心理支援者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない」ことが定められています。どうしてもBクリニックにクライエントが通院したいと言うことであれば、Aクリニックの主治医の紹介状を持ってくる必要があると伝えてもいいでしょう。そのため×としました。

 

26)×

「多重関係の禁止」の問題です。テキストP18に「多重関係は問題とされ禁じられている」とあります。また「利益誘導と解されるような行為は行ってはならない」ともあります。この問題文は事務員の方から自発的にスクールカウンセラーのカウンセリングを受けたいと申し出ている為、利益誘導と解されるかどうかに関しては微妙ですが、多重関係になりそうな危険な場面です。学校の事務員さんとスクールカウンセラーという立場と、病院のカウンセラーとクライエントという二つの関係性を維持していくことは、次第に難しくなってくることを想定しておかなければなりません。例えば、「○○先生と××先生は学校内で禁止されていることをやっています」等と、病院でのカウンセリング場面で学校の中の出来事が語られるかもしれません。スクールカウンセラーとしての活動に影響が出る可能性もあります。また逆に、事務員さんが学校の中で、クリニックで話しきれなかった事を聞いて欲しいという事が起こるかもしれません。テキストP18にも、「公認心理師ークライエント関係に必要な中立性や客観性が侵され、利害の対立や個人的な意見が絡む恐れがある」「様々なリスクが生じることから、多重関係は問題とされ禁じられている」とあります。よって×としました。

 

27)×

「秘密保持義務」の問題です。クライエントとは学会発表の前に、どこまでの範囲で秘密保持義務が解除されるかを話しあっておく必要がありました(テキストP30表2)。逐語が必要な場合はその点も確認をとっておくべきでした。「発表は了解したが、逐語まで公開するとは思わなかった。これでは自分だと分かってしまうのではないかと思い不安だ」とは、もしかするとクライエントの主観であるかもしれませんが、大切なのはクライエントがどう感じたかです。よって×としました。

 

28)×

「公認心理師の不在」に係る問題です。この公認心理師は実際に嘔吐したとありますので、O157などの感染力の強い病気だった場合、結果的にクライエントに大きな被害をもたらす恐れもあります。テキストP24にある通り、カウンセラーの急病の際の連絡方法などを話し合っておくことが求められます。病院の規定に従って速やかに連絡をとってもらい、面接をお休みすることについてクライエントに了解をとるべきでした。また、テキストP35表1の「基盤コンピテンシー」にも「専門家としての姿勢:心理援助を受ける者の健康および成長に向けて、責任持った行動をとることが出来る」「反省的実践:心理職として効果的に機能できるように自らの心身の健康について管理して、セルフケアを講じることができる」とあります。よって×とします。

 

29)×

「インフォームド・コンセント」の問題です。テキストP31表3にあるように、援助の内容や方法については、クライエントと話し合われるべき大事なポイントであり、クライエントの自由意思により選択する権利を奪ってはなりません。クライエント治療行為に持っているイメージは様々です。「アダルトチルドレン」は「機能不全家族で育った子ども」という一応の定説のようなものはありますが、診断名でもなく人によって受け取り方の異なりやすい曖昧な概念です。この問題文のような対応では、後々大きなすれ違いが生じる可能性があります。公認心理師は知らないことは知らないと正直に伝え、どんなところがアダルトチルドレンと当てはまると思ったのか、○○先生のどこに共感したのか、教えてもらおうとする態度から始める方が賢明です。従って×としました。

 

30)○

「信用失墜行為の禁止」および「職業倫理的な責任」の問題です。私は公認心理師ですと名乗ること自体は、その資格があれば問題はありませんが、この書き込みは問題です。非匿名SNSである場合、当該クライエントがその書き込みを見る可能性もあり、テキストP17表2「職業倫理の7原則」の「第1原則:相手を傷つけない、傷つけるようなおそれのあることをしない」にも触れる行為であるとも考えられます。また、匿名SNS、非匿名SNSに関わらず、これを読んだクライエントの中には、自分のことだと思い込む人が現れる可能性がありますし、「自分も繰り返し同じような話をしているから、本当は自分のカウンセラーにもそう思われているかも」と他の公認心理師との関係性にまで影響する恐れがあります。社会的信用を失う行為も含め「公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない」とする、公認心理師の信用失墜行為にあたると考え○としました。

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