医療保険には、精神科専門療法について以下のような算定基準や、決まりがあります。ここまで細かい事は公認心理師の試験に出ないかなぁとは思いますが、将来的にも公認心理師に関係のある話と思いましたので、掲載しておきます。ちなみに赤字の部分は、公認心理師に関係のありそうな箇所や、精神保健福祉士国家試験に出題されたことのある箇所です。
<厚生労働省「保健診療の理解のために」より、精神科専門療法の部分抜粋>
○ 実施した精神療法の要点、精神療法に要した時間を診療録に記載する等、算定要件に留意する。
(1) 入院精神療法の留意点
「入院精神療法」とは、一定の治療計画に基づいて、精神面から効果のある心理的影響を与えることにより、対象精神疾患に起因する不安や葛藤を除去し、情緒の改善を図り、洞察へと導く治療方法をいう。 |
対象精神疾患 ICD-10(国際疾病分類)の第5章「精神及び行動の障害」に該当する疾病又は第6章に規定する「アルツハイマー<Alzheimer>病」、「てんかん」及び「睡眠障害」に該当する疾病又は精神症状を伴う脳器質性障害。 |
入院精神療法(Ⅰ)は、入院中の患者について、精神保健指定医が30分以上入院精神療法を行った場合に、入院の日から起算して3か月以内の期間に限り週3回を限度として算定する。 |
入院精神療法(Ⅱ)は、入院中の患者について、入院の日から起算して4週間以内の期間に行われる場合は、週2回を、入院の日から起算して4週間を越える期間に行われる場合は週1回をそれぞれ限度として算定する。ただし、重度の精神障害者である患者に対して精神保健指定医が必要と認めて行われる場合は、入院期間にかかわらず週2回を限度として算定する。 |
入院精神療法を行った場合は、その要点を診療録に記載する。入院精神療法(Ⅰ)の場合は、更に当該療法に要した時間も診療録に記載する。 |
(2) 通院・在宅精神療法の留意点
対象精神疾患は、入院精神療法と同じ。 |
精神科を標榜する保険医療機関の、精神科を担当する医師が行った場合に限り算定。 |
通院・在宅精神療法とは、一定の治療計画のもとに、危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法をいう。 |
診療に要した時間が5分を超えたときに限り算定する。 |
診療録に、当該診療に要した時間を記載する。時間が明確ではない場合、「30分超」などの記載でも差し支えない。(初診時の60分以上・30分以上・5分以上30分未満でそれぞれ点数が異なる。) |
通院・在宅精神療法を行った場合は、その要点を診療録に記載する。 |
(3) 精神科継続外来支援・指導料の留意点
対象精神疾患は、(1)(2)と同じ。 |
入院中の患者以外の患者であって、精神疾患のものに対して、精神科を標榜する保険医療機関の、精神科を担当する医師が、精神障害者の地域生活の維持や社会復帰に向けた支援のため、患者又はその家族等に対して、病状、服薬状況及び副作用の有無等の確認を主とした支援を継続して行う場合を評価。 |
精神科継続外来支援・指導を行った場合は、その要点を診療録に記載する。 |
(4) 認知療法・認知行動療法の留意点
認知療法・認知行動療法とは、入院中の患者以外のうつ病等の気分障害、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害又は神経性過食症の患者に対して、認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって治療することを目的とした精神療法をいう。 |
気分障害、強迫性障害、社会不安障害、パニック障害又は心的外傷後ストレス障害に対して行う場合は、厚生労働科学研究班作成のマニュアルに従って行った場合に限り、算定出来る。神経性過食症に対して実施する場合には、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター研究班作成のマニュアルに従って行った場合に限り、算定出来る。 |
一連の治療計画を策定し、患者に詳細な説明を行い、認知療法・認知行動療法に習熟した医師(研修を受講するなど)により、30分を超えて治療が行われた場合に算定する。 |
認知療法・認知行動療法を行った場合は、その要点及び診療時間を診療録に記載する。 |
医師と看護師が共同して行う場合、施設基準と算定要件に特に留意する。 |
(5) 精神科ショート・ケア、デイ・ケア、ナイト・ケア、デイ・ナイト・ケアの留意点
精神疾患を有するものの社会生活機能の回復を目的として、個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するもの。 |
いずれを行った場合も、その要点及び診療時間を診療録に記載する。 |
いずれかを最初に算定した日から起算して1年を超える場合、週5日算定が限度。ただし、週4日以上算定できるのは、次のいずれも満たす場合に限られる。 |
ア) 少なくとも6か月に1回以上、医師が必要性について精神医学的に評価を行い、継続が必要と判断した場合には、その理由を診療録に記載する。 |
イ) 少なくとも6か月に1回以上、精神保健福祉士又は公認心理師が患者の意向を聴取する。 |
ウ) 聴取した患者の意向を踏まえ、医師を含む多職種が協同して、患者の意向及び疾患等に応じた診療計画を作成する。医師は診療計画を患者又は家族等に説明し、精神科デイ・ケア等の実施について同意を得る。 |
エ) 精神科デイ・ケア等を実施した患者の、月あたりの実施回数、平均実施期間等について、要件が規定されている。 |
(6) 精神科退院指導料の留意点
精神科を標榜する保険医療機関において、1か月を超えて入院している精神疾患を有するもの、又はその家族等に対して、精神科を担当する医師、看護師、作業療法士及び精神保健福祉士が共同して、保健医療サービス又は福祉サービス等に関する計画を策定する。 |
必要に応じて、障害福祉サービス事業所、及び相談支援事業所等と連携する。 策定した計画を、文書(参考様式あり)により、医師が説明を行った場合に算定する。 |
指導対象が、患者本人又は家族等であるかを問わず、対象となる退院1回につき、1回に限り当該患者の入院中に算定する。 |
説明内容には、退院後の治療計画、退院後の療養上の留意点、退院後に必要となる保健医療サービス又は福祉サービス等を含む。 |
説明に用いた文書は、患者またはその家族等に交付するとともに、その写しを診療録に貼付すること。 |