1)×
要保護児童への支援を行うための関係機関によるネットワーク会議を要保護児童対策地域協議会といい、その運営は市区町村が担っています。(現任者講習テキストp72 以下:テキスト)
2)×
保護者がその看護する児童に対して、児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食を行う場合、これはネグレクトにあたります。テキストp72のネグレクトの定義に「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食または長時間の放置、保護者以外の同居人による身体的虐待、性的虐待、心理的虐待と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること」とあります。
3)○
児童虐待防止法 第6条「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。」とあります。
4)○
児童福祉法の規定により、児童委員は民生委員を兼ねることとなっています。民生委員は、厚生労働大臣から委嘱され、それぞれの地域において、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努める方々であり、「児童委員」を兼ねています。児童委員は、地域の子どもたちが元気に安心して暮らせるように、子どもたちを見守り、子育ての不安や妊娠中の心配ごとなどの相談・支援等を行います。また、一部の児童委員は児童に関することを専門的に担当する「主任児童委員」の指名を受けています。
児童福祉法 第6節 児童委員
第6条 市町村の区域に児童委員をおく。
第2項 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)による民生委員は、児童委員に充てられたものとする。
第3項 厚生労働大臣は、児童委員のうちから、主任児童委員を指名する。
学校臨床現場でも協働することが予想される、児童委員のお仕事についても、もう少し詳しく書いておきます。児童委員の職務は児童福祉法により、①児童及び妊産婦につき、その生活及び取り巻く環境の状況を適切に把握しておくこと。②児童及び妊産婦につき、その保護、保健その他福祉に関し、サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助及び指導を行うこと。③児童及び妊産婦に係る社会福祉を目的とする事業を経営する者又は児童の健やかな育成に関する活動を行う者と密接に連携し、その事業又は活動を支援すること。④児童福祉司又は福祉事務所の社会福祉主事の行う職務に協力すること。⑤ 児童の健やかな育成に関する気運の醸成に努めること。⑥前各号に掲げるもののほか、必要に応じて、児童及び妊産婦の福祉の増進を図るための活動を行うこと。となっています。
5)○
児童虐待の通告は、公認心理師の秘密保持義務よりも優先されます。
児童虐待防止法 第六条
児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
第3項 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。
6)×
児童虐待防止法の第二条「児童虐待の定義」には「児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。第十六条において同じ。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。」と書かれています。つまり子どもの前で繰り広げられる激しい夫婦喧嘩は児童への心理的虐待にあたり、「児童虐待」とみなさます。
7)○
性的虐待には、性的暴行や性的行為の強要・教唆以外にも、性器を触らせるなどの性的暴力や性器や成功を見せる行為、ポルノグラフィーの被写体になることを子どもに強要することなども含まれます。(テキストP72)また、児童虐待防止法の第二条「児童虐待の定義」には「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号(注:身体的虐待・性的虐待)又は次号に掲げる行為(注:心理的虐待)と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。」と書かれており、問題文のような保護者の同居人による性的虐待の放置はネグレクトにあたります。
8)×
児童相談所や市区町村が通告を受理した場合、児童相談所は関係機関からの情報収集を行い、原則48時間以内に目視による子どもの安全を確認します。(テキストP74)児童相談所運営指針において、安全確認は、児童相談所職員又は児童相談所が依頼した者により、子どもを直接目視することにより行うことを基本とし、他の関係機関によって把握されている状況等を勘案し緊急性に乏しいと判断されるケースを除き、通告受理後、各自治体ごとに定めた所定時間内に実施することされています。当該所定時間は、各自治体ごとに地域の実情に応じて設定することとなっていますが、迅速な対応を確保する観点から、「48時間以内とする」ことが望ましいとされています。(参考:厚生労働省HP児童相談所における安全確認を行う際の「時間ルール」の設定状況について)
9)×
児童相談所が通告を受理した後の、児童相談所職員による「目視による子どもの安全確認」は、場所を限定していません。現実的に考えても、問題文のように必ず児童の家庭において安全確認をしなければならないとなれば、虐待の事実の有無も判断つかない状態で、家庭に訪問することになりますし、不在の場合、児童が家庭に帰ってくる時間まで待たないと確認できないことになってしまいます。また、虐待の事実があったとしても隠蔽されてしまう可能性もありますね。目視による子どもの安全確認は、必要に応じて、学校やその他の場所等でも協力を受けつつ、速やかに行う必要があります。また、児童相談所運営指針において、安全確認は児童相談所職員又は児童相談所が依頼した者により、子どもを直接目視することにより行うことを基本としています。
児童虐待防止法 第8条
児童相談所が第六条第一項の規定による通告又は児童福祉法第二十五条の七第一項第一号若しくは第二項第一号若しくは第二十五条の八第一号の規定による送致を受けたときは、児童相談所長は、必要に応じ近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずるとともに、必要に応じ次に掲げる措置を採るものとする。、
10)×
子どもが家庭内にいて、目視による子どもの安全確認が誰も出来ない場合、児童相談所は家庭に立ち入って調査を行う権限があります(立入調査)。保護者が施錠等によって立入調査が出来ない場合は、家庭裁判所の許可を得た上で、警察と共に家庭内に立ち入ることができます(臨検・捜索)。(テキストP73)臨検・捜索は、当該児童の住所又は居所の所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状が必要であり、警察官が同行するだけでは、強制的に開錠することは出来ません。(参考:厚生労働省HP 臨検、捜索に至る手続きPDF)